甘孜寺 ☆☆☆
約5時間で塔公から甘孜についた、意外とかかる。
前から来たかった甘孜、成都から来るには一日、西寧~玉樹経由で来るには一日以上かかり、遠い所にある甘孜という感じがしていたが、目の前にあり感激。
まず大金寺の温泉に行った。その翌日温泉からもどってホテルを決め散歩に出た。
康定から玉樹につながる横方向の川蔵路のメインストリートに、縦に何本か道が通り、とんがり帽子のような形をした街だ、帽子の先端に寺がある。
空港通りに何軒か喫茶店があると書いてあったので行ってみる。たしかに今風の店がある、そのうちの一軒に入りビールを飲んだ。
北に上れば寺に着くだろうと考え歩いて行くが、寺の先端は見えるが、道は少しずつ違う方向にずれて行く。
何回か道をたずねやっと寺に着いた。
寺の入り口から急な斜面の階段に沿って僧房が建っている。階段が急で登るのが苦しい、若い僧たちは楽々と登って行く。
ちょうど全員集合のようだ、読経が聞けると思ったが、広い講堂で問答の授業のようだ。
窓からのぞいてみると何人か前に出て、先生の僧の前で手を打って相手に問う例のしぐさで練習している。
面白そうなので中に入って見物したいが入り口が前方で、入ると全員の視線を浴びることになるのでやめ。庭で休んでいた。
子坊主たちは別の部屋に集まりお経を読んでいる。その声が寺じゅうに響いている。
もう少し登ると本堂がある、しかし本当に全員集合らしく誰もいず鍵がかかっていて見物できない。
本堂が一番上その下が講堂それしかない、とても小さな寺だ。
もともと小高い丘があり、その頂上に寺を造ったら僧が集まり僧房が取り囲み、その下を民家が取り囲んで身動きできないという感じ。寺全体なんとなく窮屈な感じだ。
しかしここからの眺めが美しい。遠くに雪をかぶった山が見える。
寺の改修工事、お馬さんも働かされている。
見学を終え町へ戻る解放路の道は一本道だった、あんなに苦労をせずにはじめからここを歩くのだった。
どこかで右に曲がると上の写真の道に出る。
ずーっとチベット家具を作る家が並んでいる。
終点。
この後玉樹に行って気がついた、道そのものはきれいではないがゴミが落ちてない。そして成都に戻り見てみるとここもゴミがない、ウソだろ。
帰国後この写真を見て気がついた、甘孜もゴミがない。
いったいどういうことだろう。四川省の政府が命令したのか、しかし玉樹は青海省だ。
中国は一生懸命日本を見習って、民度を上げている証拠だろうか。
どうであれ、きれいなことにこしたことはない。
道を下ったところの右側に包子屋が二件並んでいた、なんとなく店員さんがいい感じなので手前の店に入る。
朝から売っていたせいか少し皮が硬い、隣の店でビールを買い、包子とビールで夕食。
食べ終わる頃亭主がスイカをくれた、やっぱりいい人だった。
この卡萨温泉大酒店の横の道を下ると温泉街になる。個室型温泉の店がいくつも並んでいる。旅館を兼ねている店もある。
なかなかおだやかでいい街だ。思ったより街全体がこじんまりしている。その周りに自然はいっぱいある。+2 寺はまあまあだった。+1 (17年7月)
なだらかな丘が続き緑のじゅうたんにおおわれ、遠く雪をかぶった高く美しい山がそびえる、それを街から眺めることができる。カムやアムドならどこでもそんな感じだと考えていたが、こんなにうまくそろっている所はめったにない。
草原と高い山々、それなりの都会、街の中心から遠く近くいろいろな所に出かけられる、喫茶店がありコーヒーが飲める、感じのいい人たち、散歩しても迷いそうになく安心して歩き回れそうに思う。
というわけで甘孜は私にとって桃源郷かもしれない、すっかり気に入ってしまった。また来ていろいろ歩き回ろう!
カムで️♨その3 大金寺裏の温泉(甘孜) ☆☆☆☆☆☆☆
この温泉に行った人はけっこういる、しかしぬるく、ゴミが散らかり、ほとんどの人が入っていない。
しかしその中で一人この近くの宿に泊まり、しっかり入った人がいるのだ。
こんなところに宿があるのか、行ってみようということになった。
宿の名は「扎西大金寺自然温泉旅館」しかしこれは正式名ではないと思う、誰かがネット上で付けた名だと思う。名前などなさそうだ。扎西はたぶん場所の名前。
甘孜の町外れに新しくできたバスターミナルの周りにはタクシー運転手がたむろしている。一人の男の大金寺には宿があるという言葉を信じ、最初に話しかけて来た若い男の車で出発、60元。
この男はすべてチベット語で話す、ものすごいなまった中国語が少しできる程度、文字は読めず数字さえ書けない。なかなか話が通じない。
大金寺に着きここだという、それは見ればわかる。
温泉宿はどこか知りたいと宿の名を書いた紙を見せると、少し走って少し先の道に入り裏を回って温泉に着いた。
温泉にはたくさんの人が入っていてにぎわっている、でも宿はこんな所にないという顔をする。
車を洗っている、こちら側は川下みたいな感じで入る人もいないのでまあいいかも。
ふてくされ気味に困った顔をして、もういいやあきらめて帰ろうと言うと、かわいそうだと思ったのだろう、車を降りて温泉の周りに座っている人たちに聞いている。
やはりないらしい、あの男は坊主だと言う、坊主に聞いてもないということか。
道を戻り甘孜まで。
しかし大金寺の前を通ると若い僧が歩いている。声をかけてみると反応があった。なにか賓館、賓館と言っている。
そして運転手は寺の中を走る道に入って行くが、それらしいものはない。
また近くにいる僧に聞く、ていねいに教えてくれている。
寺の裏まで出て道を行く、まだない、もう少し走る。
あった、少し古い寺だ。
人がいるようには見えない、男はいると言う。確かに洗濯物が見える。
男が車を降りて閉まっている鉄のドアの前で怒鳴る、反応がない。
しかししばらくして尼さんが出て来た、その後に男の僧が、やっぱりあったのだ。
やったー! という感じ。
僧が楽しそうに荷物を持って案内してくれる。
すごい古いシェアルーム、渋いボットン便所、そんなものだろうと思っていたからむしろうれしい。尼さんもいる。来てよかった大成功。
二階の左側。
ここで顔を洗った。きれいな水が出る。
寺は古いがきれいに掃除されている。
荷物をほどき、時間があったので温泉や寺を見物する。
夕方6時ごろ、もう食事の時間だ、温泉に入るのは食後にして部屋に戻る。
すると汚いシェアルームに男がいる、え、こんな所に来る人がいるのか。
イスラエル人、ダニエル君。デンジャラスな都市エルサレム在住。
実はドイツ人のカップルもいた。寺の庭の一部に10部屋くらいある新しい棟が立っている、これならかなりおおぜい泊まれる。きれいなトイレもある。
インターネットで知られてるらしい。ここに来た日本の若者も英語のサイトで知ったのだろう。
やっぱり白人はゆっくりできる美しい所を探すのが上手いな。
誰も行かない所により早く行くのも好きだ。
食後ダニエル君と二人で温泉へ。
先に行ったダニエル君が足湯につかり誰もいない温泉で笛を吹いていた。
ロマンチスト!
雲南で買ってきた箶芦丝(ホルス)という笛らしい。
なかなかいい音がする、ピアノが弾けるといっていた、でもミュージシャンではないらしい。
吹いてみろと言うからちょっと適当に吹くと、日本人らしいメロディだといった、よくわかんない。
ダニエル君は中国語ができる、当然英語も。旅行用に中国に来て買ったスマホに翻訳と地図のアプリを入れて持っていた、電話はできない。チープだチープだと言っていた。これはいいアイディアだ。
私は水着に着替えて入浴。
そこへバイクでやって来た男5人が裸で入浴。それを見たダニエル君もすぽんぽんで入浴、男たちといろいろ話している。白人は人気がある。
でもやめてほしいシャンプー使うの、パンツ洗うの。
男たちが帰って行き二人でのんびり入る、人のいない温泉はとってもいい感じだ。
私だけではないダニエル君もすっかり気に入ってしまっている、もう1日延ばして2泊すると突然言い出す、わかる。
二人とも興奮して床についた。
朝早くまた温泉に行く、誰もいない、人が入らなければ温泉は水が澄んでいて美しい。
近くに住む夫婦が水を汲みに来ていた、体にいいのだみたいなことをいっている、食用に使うらしい。
後から来るはずのダニエル君の姿が見えない、一本道なのに、川に落ちて死んでしまったんだろうか。きっと美しい場所を見つけて笛を吹いているのさ。
お湯は池の真ん中あたりからブクブク湧き出ている、しかし長く地下を通って来たせいかとてもぬるい。昨日の食後の入浴は風が吹いていて上がると寒くて服を着るまで震えていた。
夏しか入れない感じだ。昼間は子供達の絶好の遊び場になっている。
足元は少し大きめの砂利が敷き詰められていて気持ちいい、自然にこうなったんだろう。
いくら入っていてものぼせることはないというかあたたまることはない。
少しあたたかい真ん中に行って、山を見ながら坐禅を組んでみた、いい感じだ。
ゴミはできるだけ見ないようにするのがこの温泉を楽しむコツだ。
寺の裏から見た温泉。
坂道を下って、
大きな岩の裏側にある。
そしてこの宿でなにより素晴らしいのは二階の屋根から望む360度全開の景色だ。
一週間くらいここに泊まり、小高い丘を越え、周りに見える寺や村を訪ね歩いたらきっと楽しいだろうねと、ダニエル君と話をした。
親切な年寄りの坊さん二人と尼さん二人が信じられないくらいやさしい。
若いほうの坊さんが英語をしゃべれる。
食事は尼さんが作ってくれる、野菜中心のやさしい味付けの料理だ。朝食はチベット風パンとサラダの洋食風。
日本にいると坊さんは肉を食べないなんてすっかり忘れているが、そう言えば仏教はそういうものだったと思い出す。
宿代40元、食事は一回17元、 合計74元。
来た時の運転手に迎えに来てくれるように電話してもらい、ダニエル君に別れを告げ、なごりおしいが甘孜に戻った。
少し離れた所から見るこの寺のたたずまいがすべてを表しているように思った。観光にはしらず、質素に暮らす四人(たぶん四人だと思う)の僧侶たち。+3 温泉を囲む美しすぎる自然、遠く見える雪山。+3 朝早く入る温泉。+1 ゴミが……。-1 親子ほど年が離れているのになぜか話が合うダニエル君。+1 合計 満点+2 (17年7月)
あんまり良すぎたので地図を描いてみた、誰か行ってほしい。
塔公の丘 ☆☆☆
ガッチリした鉄線に囲まれている、なんとか乗り越え道に出る。
炊いてある火が気持ちいい、少しお湯を飲ましてもらうが風が強くなってきた。
遠くの方で雨が降っている、あの雨はこっちにくるのかと聞くと来るという、早々に焚き火を後にした。
「デモ」さよなら、オヤジもにっこり。