尕丁寺 gā dīng sì ☆☆☆☆
10時にやっと来たタクシーに乗って寺までののどかな道を15分くらい。帰りは歩くからいいと言って帰らせた。
ついに来た! まずは寺全景の写真を2枚。
借りた写真、この高さでないと美しさにかける、と自分で撮った分。
この寺「尕丁寺」を知ったのは3、4年前。グーグルの玉樹の地図に誰かが寺の全景を貼り付けてあった。こんな寺があるのか? しかし場所も名前もわからない。
よく調べずにトンチンカンなところに写真を貼り付ける白人がよくいる。たぶんそのたぐいだろうと思ったが、やっぱり美しい、行ってみたい、いろいろ調べてみたがわからなかった。
たぶんチベット自治区の東側だろうと思ったが、この美しさならどこかのツアーに組み込まれていていいはずだと思ったが。
もしもを考えて、去年の旅行で寺の写真を印刷して持って来ていた、誰かに聞いてみようと。すると玉樹の結古寺の坊さんが教えてくれた、いとも簡単に。あんなにネットで探しまくったのに。
去年は玉樹から成都まで飛行機で帰った。その時空港の待合室にでっかい寺の写真が二つも展示されていた。玉樹の観光協会もご推薦だったのだ。
きれいに湾曲した川に囲まれた島の真ん中に寺がある。島に渡るには両側に橋が二本ある、車が通れるのは寺に向かって右の一本だけ。村から来た車はこわそうな橋を横目にぐるっと回って、もう一本の橋を渡り寺の横につけた。
本堂には人がいなく見物はできなかった、まあだいたいどの寺も同じだからいいか。他のお堂もいろいろ工事していて見物しにくい。
しかしどこもかしこも工事してるなあ、景気いいからね中国は。
さっそく寺の前庭という感じのまあるい草原に降りてみる。
草原の真ん中にテントがはってあり若い坊主が5、6人いた。そばに行って話してみる。寺に僧はだいたい150人くらいいるらしい。
ここでテント張っても大丈夫? 大丈夫だよ。 野良犬いない? いない。 狼は? いない。 ヘビは? いないよ。 うーんここでキャンプしてみたい。
坊主達はちょうど帰る所だった。ここで何していたんだろう。
川辺に行き、湯を沸かし携帯食料を食べる。よし、対岸に渡り美しい寺の全景を見物だ。と気持ちをふるい立たす、そうしないとあのこわそうな橋は渡れないから。
渡ろうと歩いて行くと、対岸の村からお母さんと子供が渡って来た、いとも簡単に渡っていた。あいさつしようと急ぐが、さっさと渡っていなくなってしまった。村人には普通の橋。
なんとか橋を渡り、寺の正面が美しく見えそうな場所を探して、斜面を上る。けっこう観光客が来るみたいだ足あとがある。
少し登って寺を見てみるが少し低い、もう少し上へ。斜面の中腹あたりでこの辺でいいかと腰をおろしてコーヒーを飲む。
きれいはきれいだが、なんとなく写真で見たときの衝撃にはとどかないな、写真の勝ち。
今は7月下旬、夏の真っ盛りで草木が茂り過ぎているように思う、またその時は気づかなかったがいくつか見た写真はもっと上の方から撮られている、もっと斜面の一番上まで登るのだった。
でも遠く時間かけて来た所、十分に楽しい。寺を前にゆっくり休んだ。
実はこの川はここでみごとにSの字に流れているのだ、グーグルの実写で発見した。先に行った二つの寺の空からの写真は探せなかったがここは簡単に探せた。
Sの字の先に何があるのか歩いて見た。カーブしてる所に寄宿舎制の小学校があった。その先は特に何があるわけでもなかった。道は川に隠れて見えなくなっていた、このままチベット自治区に続いていくのだ。
この川の名は「牧曲」。この先チベット自治区との境目あたりで、囊谦の横を流れてきた「扎曲」に合流し、昌都を通り、やがて「澜沧江」に流れ込み、雲南省を越えて、「メコン川」と名をかえ、タイ、ラオス、カンボジア、ベトナムを流れて南の海にたどり着く、すごい。
では、東南アジアの皆様に私の小便をプレゼント!
うーん、なんてスケールの大きな国際交流だろう! ちなみに中国でも小便と言う。
さ、そろそろ帰ろうか、宿のお姉さんに聞いたら歩いて1時間だと言っていた、散歩するにはちょうどいい時間だ。
今いるのは車で渡れる橋のたもと、川には両岸に道がある、どちらを歩いても宿に戻れる、道路工事をしているおばさんに聞いてみる、どっちの道の方が早く着くか。
おばさんは一生懸命教えてくれる、車で来たときの道の方が近いことはわかった。もう一つの道は遠回りしてどこかで合流するもう一本の川の橋を渡るようなことを言っていた。
では短い方で。でもまた寺を右手にぐるっと回らなければいけない。時間を短縮するにはまたあのこわい橋を渡るしかない。
やめておこう、私は危ない橋は渡らない主義だ。
短いようでけっこうかかる、一回りして村の所まで30分かかってしまった。
寺の裏の中州で小坊主たちがゲームをしていた。坊主が坊主の衣装を着る競争だ。全部着込んで最後に風船をふくらまして、最初に割れた人が一番にゴール。
小坊主達を指導する先輩達もいろいろたいへんだ。
川に沿ってゆっくり歩いていると、ふと丘側に目がいった、なんだろう青い花。
うん? ブルーポピー。確かにそうだ、ずっと4000m近い所を訪ねているのにこの花になんで出会わないのだろうと思っていた、やっと会えた、一本だけ。あたりを見回しても他には咲いていない、となりの茎は枯れかかり花は終わっていた。
ブルーポピーを訪ねるには、少し遅すぎたみたいだ、6月下旬から7月初旬くらいだろうか。でもよく一輪残っていてくれた、よかった。
チベット人はあまりブルーポピーに興味がないらしい、いろんな所でいろんな人に聞いたが、誰もろくに答えてくれなかった。ブルーポピー好きは日本人くらいか。
無事宿までたどり着く、1時間で着くと行っていたが2時間かかった。でも楽しいからそんなに苦にはならなかった。
村はずれ、対岸の左の丘に昨日行った尼寺が。
寺を囲む風景は思ったほどではなかったがやっぱり美しい。金色の屋根の寺、まわりを囲む山、すぐ横にある村のたたずまい、いい感じだ。+4 合計+4 (18年7月)
尕丁寺は嘎丁寺、尕尔寺も嘎尔寺と表記することがある。特に意味はない同じ発音だ。