花久高速道路  ★★★


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なに、花久高速道路って、
「花石峡~久治」間に17年11月ごろ新しくできた高速道路の名前。
でもどうして花久高速道路なんて造ったの?
まったくわからない。


行きは西寧から玉樹まで夜行バス、玉樹から戻るにはやっぱりバスしかない。成都まではもっと時間がかかる。しかしもう一度西寧まで乗るのはなあ。そこで、途中下車しどこかアムドの町によって帰ろうと思い、一日あけておいた。

13年にアムネマチンの氷河を見に行ったことがある。そうだあそこがいい、近いし、もう一度見てみたい。

13年の時は西寧から国道を走り「花石峡」付近から「玛沁(マチン)」の方角に入り、河原に続く車の通った跡を手がかりに「下大武」まで行った、そこに一泊して氷河を見に行った。空気が澄んでいて風景が美しくブルーポピーも咲いていた。

感激して旅行のブログに書いた。それを読んでくれた知り合いが出かけたらしい、チベット系の会合で出会い教えてくれた。

ねえねえ、すっごっくきれいだったでしょ、と聞いてみたがへんな顔をしている。どうしたんだろう。

あの辺すっごく空気が澄んでいてとてもきれいだったでしょ、ひつこく聞くと。高速道路の工事やってたの! と言った。

あそこにはもう少し整備された道がほしいことは確かだ。しかし舗装道路を造っていたにしてはガッカリ度がひどかった。

あれから5年、いろいろ検索していると、花久高速道路のすごい写真が出てきた。自然環境など気にせず進める中国の道路工事のことだ、さぞかしひどかったろうと同情した。


玉樹を出たバスは美しい風景の中を走り、「玛多」まで来た。玉樹~玛多間の風景も雄大で美しい。窓側に座れず悲しい。玛多付近で昼食。

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 玛多の入り口、町は3キロ入った所。

そして花石峡へ。花石峡はちょうど玉樹と西寧全長約800kmの中間、400km地点。
おまえ花石峡で降りるんだったな、前に来いと車掌に呼ばれる。途中停車は早く済ませたいみたいだ。運転手の横の席に座っていると、車掌がやってきて俺がここだ、お前は階段に座れと言われる。あたりまえだろ客より車掌ほうがえらいの。

そして高速道路の途中でおろされる。荷物を受け取り車掌に聞くと、下に道があるだろそこにおりろと言われる。荷物を持ち上げガードレールをまたいで小さな階段を下りる。

たぶん左に行けばいいんだろうと考え歩き出す。すぐに道の先に小さな町があった。いちおうホテルもある、目印らしき像も立っている。誰か来るだろうと思って歩いていると、車が2台寄って来た。

どこ行くんだ? 玛沁。できれば雪山郷に行って泊まりたいけど雪山郷にホテルはあるか? ある。 ない。ちがうことを言った二人の運転手が話し合っている。 結論は、ない。じゃあ玛沁に行きたい。いいよ乗りな。

玛沁から雪山郷に行き一泊して氷河を見るというのがコースのはずなのになぜだろう。雪山郷には簡単な宿泊施設があるはずなのに。まいいか、高速道路から見えるだろう、見えたらそこでおりればいい。

客一人じゃもうけがうすい。像の下で坊主がうろうろしている、さっそく近づいて乗せる。客二人で出発。運転手のにいちゃんが店で水など買い集めてもどってくると、運転手が代わった少し大人だ。にいちゃんは後ろの席。

f:id:mu2ro:20181012002001j:plain走り出す、しかし方向が違う、西寧の方に戻って行く。そのうちきれいに整った二本の道路の間の土の部分をくだり反対車線に、土の部分にちゃんと車の通った後がある。これで料金所を避けて通っているようだ。

なんせ広大な原っぱのような所にでっかい道路ができているからなんにもまわりが見えず、なんにもわからない。何回か道を変えてそのうち標識のある下を通り、ちゃんと玛沁に向かっていることがわかった。

 

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玛沁まで160km、久治まで355km、一番上37kmの文字がふさがれている。写真を拡大してみて見ると、下大武と書いてあったように思う、もし降り口を造るとしたら、下大武以外に人が多く住む所はないはずだから。

降り口は造らないことにしたのか、今に造るのかわからない。造らなければ下大武あたりに住む人にとっては無用の長物。

道はしっかりしていてでかい、できたばかりだからきれい。でも対向車も追い抜く車もぜんぜん見えない。こんなとこ観光以外に通らないよな、と一人つぶやく。しかしその観光だって、アムネマチンはマイナーだし、玛沁も久治も何もないし、何のための高速道路なんだかさっぱりわからない。

青海省がインフラ工事で金使って景気よく見せるやつ? もしかすると将来、久治からアバを通って成都へつなげるのかもしれない。そうすれば西寧~成都が今より簡単に行き来できる。

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景色は当然退屈。1時間もするとアムネマチンの山並みが見えて来た、うーんきれいだもっと近づいてほしいと思うと、グーンと近づき氷河の横を通った。下にはチョルテンが見える。こんな近くまで寄って造ったんだ、これじゃあ工事中の景観はだいなしだね。 

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よく覚えてないが、氷河の前で雪山トンネルに入る。出るとすぐ氷河がまじか、後ろ向いて見て終わり。氷河は車からではほんの一瞬しか見えない。車を停めて見物するスペースはあった、でもそれほどの景観ではなさそうだ。

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右の川のような白い物が氷河、ここが最先端。

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 アムネマチンの山なみはやっぱり美しい。

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トンネル入る前にまた標識が、また三つ並んでいて一番上は張り紙がしてある、たぶん雪山だと思う。

ここも出口らしき所がない。とにかくでかい道だけを先に造ってしまえという考えだろう。氷河近くに降り口を造ってほしいけどなあ。


いつかアムネマチンがたやすく見物できるような道になることを祈って先へ。


玛沁に近づく、運転手がまた変なところを通る、そして小さな土の盛られた丘の陰で停車。なにするのかと思っていると、運転手の男が、前のトランクを開け中からナンバープレート2枚を取り出した、じっと見ている私にニガ笑いをうかべながら。

プレートを張り替えて料金所を素通りできるんだろうか。とにかくコイツらいろいろうまくやってる。でも料金所は通らなかった、どうなっているんだろう。

そしてこのあたりとしては大きな町、玛沁(大武)に到着。バスターミナルの横の道が乗り合いのたまり場。
すぐそばに安くてまあまあのホテルがあった。年保玉則大酒店、180元

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大きな山が見える。この町もいろいろ道路の工事中。町が大きすぎるうえ工事中ではまったくつまらない。唯一よかったのは、近くの食堂で食べたお一人様火鍋がうまかったこと。

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 お一人様用の鍋、スープも3段階、ほとんど辛くなくキノコいっぱいのスープを注文。黒く見えるきくらげが新鮮でおいしい、ジャガイモは薄切りにすると煮くずれしないことがわかった。この豆腐はにおいがして鍋には合わない、白いのは自分で取ってなんだかわからない牛の内臓のはずだけど。


明日はどうしよう。もう一度あの高速で行っても氷河をまじかで見ることはできないし、標識にあった距離は氷河まで100kmあるみたいだし、下の道を使うと往復いくらとられるかわからない。

何か考えよう、と部屋で一人いろいろ考える……。


青海省のお役人に聞かないとこんな立派な高速道路、何のためのものなのかさっぱりわからない、成都までつながれば旅行者にはおもしろいプランが作れるけど。-2  工事で踏み荒らされたであろう高山植物達はきちんと復活するだろうか。-1  チベット人のコルラする道はきちんと確保されているんだろうか。-1  うまくちょろまかして乗り合いの商売をしているにいちゃん達の努力に対して。+1  合計-3  (18年7月)

 

今回の旅行用に思いついて持ってきた携帯椅子と使い古したタオルのセット。なにに使うかというとシャワー!

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私は古い日本人だからタオル使って全身きれいに洗わないとすっきりしない。ボディーソープでササッでは納得いかない。シャワーしかない安いホテルでは立って洗うしかない。立って洗っても新体操の選手なら全身足の先までくまなく洗えるだろうが、私の場合は片足あげたりすると倒れて頭打つ危険性が十分にある。

きれいに洗うにはやっぱり座らないと。そこでキャンプなどで使う椅子を買って持ってきた。これなかなかいい、アムドなんかを歩き回った後には足のマッサージもできる。いいアイディアだと思うけど、少しかさばる、もう少し小さいの考えてくれないかな。シニアの旅行にはいいと思うけど、すぐ乾くやつ。